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涼感・涼味を演出

素麺(そうめん)は、奈良時代に遣唐使が中国から伝えたもので、三輪素麺の産地として有名な奈良県桜井市にある日本最古の大神神社が発祥の地とされています。製法には独特のものがあり、奈良時代の麺は、小麦粉に米粉を混ぜて塩水で練り、縄のようにねじって伸ばして干したもので、「麦縄(むぎなわ)」や「索兵(さくへい)」といわれました。これが平安時代に宮中の儀式や作法をまとめた法典『延喜式(えんぎしき)」に、旧暦7月7日の七夕に供え物とするように定められた「素麺」です。鎌倉時代に禅宗とともに中国から再渡来した麺が「索麺(さくめん)」と呼ばれ、小麦粉と塩水で練り表面に菜種油や胡麻油を塗って手でもむようにして伸ばし、この生地を寝かせてから木の管にかけて手で細く引き延ばし、乾燥させたもので、この製法が素麺の元となっています。この麺は奈良時代の麦縄より細くて長く、こしが強いのが特徴で、室町時代初期には現在の「手延べ素麺」とほぼ同じようなものになりました。素麺は、生地に油を付けて延ばすため、つくりたてより寝かせておいたほうが油が抜けて味がいいと、平安時代の『今昔物語』に記されています。また梅雨を2回越したものを「ひねもの」といい、3年、5年と寝かせたものほど香りも味もよくなります。江戸時代には庶民に広がり、夏の風物詩となりました。京都・洛北の川べりにある料亭では、豊かに水しぶきをあげて流れる貴船川に川床をつくり、そこで川魚料理や、清流の水音を聞きながら青竹の筧(かけい)を流れる「流し素麺」などを出して夏ならではの演出をしています。素麺は直径が1.3mm未満で、10gあたり80本が標準ですが、細くなるほど製法が難しく、品質のよい小麦と熟練の職人技が必要となり、高級品とされます。素麺の原型が索兵なのに対し、「冷麦」は同じく奈良時代に渡来した「饂飩(うんどん)」が原型とされており、うどんの原型もこれと同じです。小麦粉に食塩水を加えて練り、麺棒を使って薄く打ち延ばして包丁で切ります。素麺の練った生地に油を塗りながら細く長く延ばしていく方法と異なり、生地を切ってつくることから「切り麦」と呼ばれるようになり、熱いまま食べるものを「熱麦」、冷やして食べるものを「冷麦」と呼びましたが、現在は「熱麦」という言葉は残っていません。

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